Luneが生まれた日2026.1.16(金曜日)
アトリエの窓から、
ふと見上げた三日月。
いつもと同じ作業をしていた途中でした。
特別な出来事があったわけでもなく、
何かを探していたわけでもありません。
ただ、顔を上げた先に、
あまりにも静かで、美しい三日月が浮かんでいました。
その光を見た瞬間、
なぜか作業の手が止まり、
しばらくの間、何も考えずに見上げていたことを覚えています。
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ものを作る中で、
「作ろうと思って作ったもの」よりも、
「思わず生まれてしまったもの」のほうが、
長く残ることがあります。
この形も、まさにそうでした。
新しいバッグを作ろう、
違う形に挑戦しよう、
そう決めていたわけではありません。
けれど、
あの三日月を見たあと、
頭のどこかに残っていた曲線が、
少しずつ形を持ちはじめました。
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月は、いつも完成した姿を見せているわけではありません。
欠けている時間のほうが長く、
満ちていく途中の姿こそが、
心に残ることも多い。
その在り方が、
自分のものづくりと、どこか重なりました。
完成しきらない美しさ。
余白を残したまま、
使う人の時間に委ねる形。
満ちる途中の月のように、
使う人の時間の中で、
少しずつ完成していく形でありたい。
そんな思いを込めています。
⸻
このバッグを
Lune と名付けたのは、
とても自然な流れでした。
フランス語で「月」を意味する言葉です。
けれど、
満月ではなく、
あの夜に見上げた三日月のように。
主張しすぎず、
静かにそこにあり、
気がつくと、いつもそばにある存在。
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バッグは、
特別な日のためだけのものではなく、
日常の延長にあるものだと思っています。
この Lune も、
誰かの時間の中で、
少しずつ馴染み、
使われ、
やがて完成していく。
作った瞬間に完成するのではなく、
使われることで育っていく形です。
⸻
アトリエの窓から見えた、
あの三日月。
あの一瞬がなければ、
この形は生まれていなかったかもしれません。
けれど、
無理に探さなくても、
日常の中には、
静かに美しさが潜んでいる。
ものづくりは、
それに気づくことから始まるのだと、
改めて感じています。



~京薫る パリの彩り~
京都の技巧(わざ)とフランスのエスプリの融合…
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